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仙台市/愛しい暮らしのこけしたち

こけし工人/鈴木明
宮城県・仙台市

東北に生きる私たちにとって「こけし」はとっても身近な存在。
江戸時代後期にすでに存在していたというこけしは、鳴子や作並(いずれも宮城県)や肘折(山形県)や土湯(福島県)といった各地の温泉地や湯治場で作られてきたものが多く、ただの置物としての土産物というよりも子どもたちの日常のおもちゃとして親しまれつづけてきた存在でした。いまに至るまでの年月のうちには、ブーム到来によって世の中からアツい眼差しを受けたこともあれば、全くそうではなかった寒いときもあったようです。
さて、流行がうねうねと移りゆくいくつもの時代を経て、こけし工人たちの手には先人たちの知恵と技が綿々と受け継がれてきました。ここでご紹介するのは秋保温泉の「玩愚庵こけし屋」の鈴木明さん。作並系こけし工人・高橋胞吉(なえきち)が作ったという「胞吉型」と呼ばれる仙台こけしを今に伝えています。そんな鈴木さんの創作の現場のレポートです。

「小さな子たちが手で持って互いに「こんにちは~」ってやるような、女の子たちのままごとの道具だったんだね。昔はそうやってお人形さんごっこをしたんですよ。それがこけしなんです」

「うちのこけしは作並系のこけしなんですけど、そのなかでも仙台のカタチをしているんですよ。うちのおじいさんは『仙台こけし』って言ってました。特徴はね、ここんとこ(こけしの胴の下のほうの部分)なんですよね。ここがこう(すぼんでいるように)なって、手で持ちやすくなっているんですね。あとは、この色ですね。赤と黒の2色で描いているんですけど。とてもシンプルな色使いなんです」

「今は、おじいさんから伝わる伝統的なものと、自分で考えたかわいいこけしとを作り分けています。
以前『百想こけし』というのを作ったんです。こけしの顔の表情が100種類あるものなんですね。これを描いているときは本当にドキドキしました。『こんなのを描いたら先輩たちに怒られるんじゃないかなー』って思ってね。実際に怒られたけど。
でも、今となってみると、それ以来筆がパッパッって走るようになって、いろいろ描けるようになったんですね。すっげえ勉強になったんだね」

「これまでこけし工人として、おじいさん、おやじ、俺と3代続いたんだけど、昔からのものをただ受け継ぐというのでは伝統は守れないんだよね。どんどん新しいものに挑戦して初めて、伝統というのは守れるようになるんだと思うね」

「この前、小学生の女の子が私の作ったこけしを買ってくれたんですよ。

小さい女の子が買ってくれるというのが、こけし本来の姿ということだよね。そういう時にね『ああ、いがったなぁ』と思ってね。そしてね、もっともっと、ああいう小さな女の子たちに買ってもらえるようなこけしを作っていかなくちゃとダメなんだなあって思ったよね」

写真=東北STANDARD this article from 東北STANDARD