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酒田市/朝陽そそぐ枝豆畑の収穫の朝

 

太陽の光がわずかに届きはじめる早朝四時半。あたりがまだ薄暗いなか「北村くらた農園」の北村さんは自宅を出て、百メートルほど離れた作業場へと向かう。鳥海山にかかる雲の具合をちらりと眺めて、今日の空模様を予想しながら。作業場に着くとこれからはじまる収穫作業のための準備をする。長靴に履き替え、身支度を整え、ペットボトルを手に軽トラに乗り込む。さらに数百メートルほど離れた畑へと軽トラを走らせる。到着した先には、広大な枝豆畑が青々と広がっている。

枝豆の旬は夏。7月から9月の終わりまでの3ヶ月間、北村さんはほぼ休みなく毎日働く。枝豆は鮮度が命の作物である。採れたてに近い鮮度のものほど旨い。だから北村くらた農園では「その日に採れた枝豆はすべてその日のうちに売り切る」とルールを決めている。市場への出荷はほとんどない。収穫したものは農園の直売所で販売するか、全国のお客さんへと直送している。

枝豆を商品にするためには、次のようなプロセスを踏む。

1)畑の枝豆を枝葉ごと収穫する
2)枝葉を取り除き、豆だけにする(脱莢)
3)色や形や生育の悪い豆を取り除く(選別)
4)豆を水で洗い、泥や汚れをとる
5)豆の周りの水気を取り、計量し、袋詰めする

それぞれのフェーズで、それぞれの時間と手間を要する。もちろん作業するための場所もそれぞれに必要となる。北村さんは、毎年、機械や道具を導入しながら各フェーズの効率化を図り改良を重ねている。常に改良の途上だ。選別には人の手と目が必要なため、近所のおじさんおばさんに集まってもらいパートに来てもらっている。ずっと座りっぱなしで目の疲れる仕事だが、みんなにこにこと真面目に働いてくれる人ばかりだ。

収穫した枝豆をトラックに積み込む。写真は、根っこごと引っこ抜いていた時のもの。現在は機械で根元を切りとるやり方に変えている。

 

「北村さんの枝豆は安くて旨い」と、枝豆好きの地元の人たちから人気なので、朝の10時頃には直売所にお客さんがつめかける。それまでにはある程度の量の商品を並べなければならない。また、午後二時頃には運送業者が宅配分の引き取りにくるため、梱包と発送準備を整えなければならない。毎日が時間との勝負だ。ここ何年もかけて、少しでも早く作業が進むように、1分でも早く商品を並べられるように、1キロでも多く良い品を出荷できるようにと、工夫を続けて来た。日々その成果が試される。

収穫は朝5時から6時半くらい。それからその枝豆を軽トラに積み込んで(めいっぱい山盛りに積むので、積み込み方にも工夫が施されているのだ)、作業場へと運ぶ。そこで機械を使って、枝葉と豆とを分けていく。機械だからといって一気にやれるわけでもなく、人の手で枝豆の枝を1本ずつゆっくりと投入していかねばならず、むしろここのフェーズでに多くの時間を費やす。この作業を、パートのみんなが集まる朝の8時半までにどれだけ進めておけるかが勝負の分かれ目だ。

枝豆を収穫し、脱莢し、選別し、洗浄し、商品を並べる。お客さんを迎え入れ、販売する。注文分を梱包し、発送する。朝から昼過ぎまでめまぐるしく動く。北村さんも、北村さんのお父さんお母さんも、おばさんも、パートの皆さんもみんな、めまぐるしく働く。

脱莢し、洗浄した枝豆を、袋詰めしていく。

 

毎日、驚くほどあっというまに時間が過ぎる。枝豆は鮮度が命。だからその命を大切にした商売をこれからも続けていきたい。まだ薄暗い朝の時間から昼過ぎまで、格闘の日々だ。毎年夏はもうずっとこんなふうに時間との勝負だ。

お母さんは、時間を見つけて梅干しをつくっていた。

 

仕事終わりの夕方を迎えると、その日に収穫した枝豆の味を噛み締めながらビールをカーッと飲みほす。いい味だな、と思う。ビールはいつも旨いが、やっぱり夏が旨い。日本海に日が沈んでゆく。さあまた明日、のぼりはじめる朝陽とともに枝豆の時間がはじまる。

北村さんの農園から見る、美しく雄大な鳥海山。

北村くらた農園
山形県 酒田市 藤塚字北畑170
https://www.facebook.com/kuratanokome/